当スタジオは、開発や創造性に対する自分たちの価値観、倫理観、綿密なアプローチに共感してくれる企業と仕事ができることを誇りに思っています。
会社紹介

当スタジオの歩み
2017年、4人の仲間がコンピューターゲーム業界で何か驚異的なものを作ろうと決意しました。Robert Bagratuni、Evgenia Sedova、Artem Galeev、Oleg Gorodisheninの4人が集まって当スタジオを設立したのはこの時です。Mundfishを率いる有能なグローバルチームは、世界的に認められた初タイトル『アトミックハート』のような、他にはない独創的で魅力的なゲーム体験の創造に力を注いでいます。Mundfish Studio誕生の背景には、ゲームに対する畏敬の念や童心に返ったような喜びをゲーマーに味わってもらいたいという思いがあるのです。
初のゲームリリースにより、30代のスタッフで構成されるダイナミックなチームはその創造性で業界を席巻しました。また、才能あふれる200人からなる素晴らしい国際的コミュニティを、世界中に築き上げました。



価値観






私たちの情熱






科学
当スタジオが初めて手がけたプロジェクト『アトミックハート』は、皆さんに魅惑的なストーリーを語って鮮烈な体験を提供するだけにとどまりません。このゲームの世界には、科学が息づいています。ソビエトの科学者たちの業績や発明、野心的なプロジェクトは、このゲームの世界に不可欠な要素です。そしてこのゲームの世界において、科学は単なる脚本家の道具ではなく、本物の教育ツールでもあります。開発当初から、『アトミックハート』はプレイヤーを楽しませたり感情を高ぶらせたりするばかりでなく、新しい知識を伝授するものにしたいと考えていました。そのため、科学はゲームの中心的要素となり、チームにとって真の情熱となりました。
もちろん、『アトミックハート』に登場する要素や発見の中には、当時の科学的成果のはるか先を行くものもあります。しかし、それらの基となっている理論は、決して作り話ではありません。ゲーム内でプレイヤーが目にするメモ、日記、音声記録、その他の資料は、実在の科学法則から導き出されたものであり、ファンタジーと現実の境界線を行き来するものです。だから私たちは、すべての発明にそれぞれ独自の用途、動作原理、作成方法を持たせ、リアルで生き生きとした世界を作り出そうと努めました。
『アトミックハート』の世界では、科学の可能性は無限です。ゲームの世界を旅するにつれ、ツィオルコフスキー、チェロメ、ヴァヴィロフ、パブロフ、メンデレーエフのような著名な科学者や彼らの業績に繰り返し出会います。ポリマーのような物質が手に入ることによって、彼らの研究がどのような驚異的発見につながるのか、また、それが私たちの別バージョンの歴史において一般の人々の日常生活をどのように変えたのか、その描写にできる限りの信憑性を持たせるべく、私たちは細心の注意を払って彼らの科学的遺産を研究しました。
ポリマーは『アトミックハート』のゲーム要素の中でも特別な位置を占めています。このゲームの世界において画期的な発見となるポリマーは、機械や生物学的機械を作るための基礎として使われる物質です。ポリマーはどんな形にもなり、ロボットやデバイスの燃料としても使われ、宇宙飛行中の冷凍睡眠の容器としても機能するなど、さまざまな性能を発揮します。現実には、このような特性を持つ物質はまだ存在しません(あるいはまだ発見されていません)が、『アトミックハート』のポリマーは、西側諸国とソ連の両方で研究されていた「常温核融合」の研究にインスパイアされたものです。また、部分的にイワン・フィリモネンコの研究にも基づいています。
さまざまな化学的、物理的、生物学的原理をできる限り正確に伝えるため、私たちは多岐にわたる分野の現役科学者たちに相談しました。ゲーム内に登場する数式や計算、科学的な要素はすべて本物です。これらを作成するにあたり、微生物学、生物情報学、動物学、進化生物学、心理学、天文学、物理学、化学、医学の各分野の専門家を含む科学評議会を結成しました。
プレイ中に出会うどのロボットも、単にあなたの行く手を阻むためだけに存在しているわけではありません。どのモデルにもそれぞれ日常的な目的があって、ユニークな構造をしており、そのデザインと構成は常にバイオニックとメカニカルの均衡を保っています。ロボットに有機的な要素があるなら、それは魅力的で興味をそそるものでなければなりませんし、ロボットの大部分が機械部品でできているなら、その構造は生物学の原理に従い、バイオニックでなければなりません。それが、形と見た目の両方に命を吹き込む方法なのです。
『アトミックハート』の世界における科学の影響は、マシンと美観の両方において顕著です。コンプレックスの内装は、使用される科学の種類によって大きく異なり、たとえばメンデレーエフ・コンプレックスでは、内部のいたるところで化学構造が容易に見られ、パブロフ・コンプレックスやヴァヴィロフ・コンプレックスでは、生物学や解剖学の教科書に掲載されたイラストや図表、実際の科学雑誌に掲載されたカラフルなイラストの数々を見ることができます。
『アトミックハート』は科学とファンタジーの融合であり、それがこの世界に特別な魅力と独特のわかりやすいスタイルを与えています。私たちはすべてのプロジェクトにおいて、プレイヤーがゲーム内でも現実でも世界を探検したくなるような、楽しくてためになる体験を提供することを心がけています。そしてその取り組みが成功していることを願っています。

芸術性
芸術性と創造性は、エンターテインメント産業において不可欠な要素です。そしてゲーム業界では、これらと同じくらいテクノロジーも重要です。つまり、コンピューターゲームにおける芸術には想像力とテクノロジーの共生が求められており、これは実に困難で意欲の要る仕事です。
『アトミックハート』を制作する際、Artem Galeevは現代折衷主義の原則をゲームデザインの基盤とし、見慣れた過去のイメージを、今までにはなかった新しいテクノロジーの世界や近未来的ソビエト連邦のイメージと融合させました。
これをシンプルに「バイオニック」と呼び、生物学とテクノロジーの融合を表しています。実在の生物の形をもとにした無生物は、その情感豊かな外見によって生気を帯び、実在の生物を連想させるものとなります。私たちはこれらのイメージを目にし、その動きを観察して、恐怖や不安、そして嬉しさや喜びといった、相反する強い感情を抱くのです。
Mundfishは、世界の構築とオブジェクトの創造にあたり、高度な科学的アプローチをとりました。擬人化ロボットであれ、飛行ロボットであれ、その他のタイプのロボットであれ、あらゆるロボットについて、リアルな動きのメカニズムも含めて、細部に至るまで創意工夫が凝らされています。各ロボットの内部には、機構を動かしたり動力を供給したりする「内臓」があります。
このアプローチは環境全体に影響を及ぼし、すべての科学研究所、工場、地下コンプレックス、設備、デバイス、機構は、そこで行われている研究やその主な用途に応じて設計されています。磁気研究所、殺虫剤工場、高エネルギー施設、低温作業研究所、発芽バンカー、その他の研究施設の間を進みながら、本物の「代替現実のソ連」にいるかのような感覚を味わうことができるでしょう。ゲーム内に登場する各オブジェクトは、他のすべてのオブジェクトと論理的につながっています。
Mundfishのアーティストたちは、現代で最も興味深く独創的なプロジェクトのひとつを作り上げました。『アトミックハート』の舞台は、人間による宇宙征服というシンプルな夢に基づいた科学的論理の世界です。
音楽
Mundfishでは、音にとてもこだわりを持っています。私たちにとって音楽やサウンドが非常に重要である理由は、単に私たちが本格的なオーディオマニアであることを自負しているからだけではありません。サウンドと音楽が、ゲーム全体の雰囲気の半分、インパクトの半分、そしてプレイヤーがゲームをプレイ中に経験する感情の半分を占めると固く信じているからです。あらゆる創造的アイデアの成功の半分を、サウンドと音楽が担っているのです。
当スタジオのプロジェクトでは、サウンドは芸術的な機能だけでなく、技術的な機能も果たすべきです。私たちは、プレイヤーに一種の共感覚を体験してもらいたいのです。サウンドは、ゲーム世界におけるオブジェクトの構造、本質、由来を表すべきであり、応用的機能としては、プレイヤーを正しい方向へ導くものでなければなりません。サウンドディレクターのAndrey Bugrovは、この創造的かつ技術的な問題を解決するアプローチと方法について、そのように語っています。
『アトミックハート』の初期、テストとプリプロダクションの段階で、私たちは音質に関して非常に高いハードルを設けました。望ましいクオリティを実現すべく、ハンマーとサウンドレコーダーを使って、小さなオフィスの一室で、身の回りのあらゆる物の表面を叩き始めました。それ以来さまざまなスタジオで、弦の振動や鉄板、棒、バレル、鎖、車のドアなどの共振を録音し、想像できないほど多くのサウンドライブラリーを徐々に蓄積していきました。数十キロの果物や野菜を叩き壊したり、クローゼットいっぱいに入った服を引き裂いたりすることもあります!
また、SOMA LaboratoryのVlad Kreimer氏と一緒に、彼のEtherサウンドレシーバーを使って、電磁波のフィールドレコーディングを行い、『アトミックハート』の世界の音を探し求めました。SOMA Laboratoryの高度な音響機器は、私たちの処女作の世界における技術的なサウンドデザインの基礎となっています。
スタジオレコーディングの多くは、精確かつ高品質で世界中の音楽プロコミュニティから絶賛されているSoyuzのマイクを使用して行われました。これによってゲーム最先端のサウンドクオリティを実現することができ、その後、2023年のハリウッドメディア音楽賞にノミネートされました。
撮影
自分がコンピューターゲームを制作しているのを想像してみてください。プリプロダクションの段階では、あらゆるステップで多くの未知が待ち受けており、どのゲームエンジンを選ぶか、どのジャンルを選ぶかなど、あらゆる疑問が頭を悩ませます。ゲーム開発者は、ジャンルの細かい設定やゲームのメカニカルな部分を把握しながら、独自のビジョンを明確なプランに組み立てていきます。
そして、あとはプロットと脚本をどうするかを考えるだけですが、取り組むべき課題がいくつかあります。たとえば、「ストーリー完結までにかかる時間は?」「アクティブなヒーローは何人にするのか?」「キャラクターはしゃべるのか、それとも無言なのか?」「カットシーンがある場合、どれを一人称にして、どれを三人称にするのか?」「カットシーンの数は?」「アクションと爆発ばかりにするのか、それともセリフやタランティーノ風ギミック満載にするのか?」などです。
けっこう学問的な話に聞こえますか?
それも当然です!
私たちが『アトミックハート』で行った作業を振り返ると、まさにそのように思えます。実際のところ、これらは私たちが解決しなければならなかった問題のほんの一部に過ぎず、問題の内容も違いました。プロットは確かにありましたが、まだ台詞にはまとめていませんでしたし、主人公も口数が多すぎるキャラですから(野卑な言葉も多く使いますし)無言であるわけがないこともわかっていました。
そして言うまでもなく、プレイヤーが決してカットシーンをスキップしたがらないゲームにしたいと思っていました。私たちのゲームはあくまでもストーリー重視なので、プレイヤーがカットシーンをスキップしてしまったら、自分たちの努力が水の泡になってしまうからです。
このような思いを胸に、私たちはプロダクションとその規模、前途に立ちはだかるすべての課題について理解できるようになりました。
Mundfishに独自の制作スタジオを持つ私たちは、『アトミックハート』のために素晴らしいストーリーを書き、職務に最適な人材を集めました。プリプロダクション期間に278人の選考を行い、その中から7人を採用しました。
そして、XsensのスーツとDynamixyzのヘルメットを注文し、この新しい技術をフル活用する方法と、モーションキャプチャやフェイシャルカメラからのデータを記録して解釈する方法を学びました。また、56の感情を持つキャラクターの3Dスキャンを作成し、びっくりするほど高品質なリグを世界トップクラスのプロに注文しました。そして1年かけてすべてをセットアップして、確実に機能するようにしました。
同様に、バーチャルカメラについても忘れることなく、才能豊かなカメラマンが現実と同じようにカットシーンを撮影できるようにしました。当然、最高の超大作映画の場合と同じようにマウントしました。
こうしたあらゆる工夫を凝らし、『アトミックハート』では1時間半に及ぶ素晴らしいカットシーンを楽しんでいただけるようにしました。パワフルなSFスリラーのプロットは、自分の仕事を愛しているだけでなく完全に熱中しているスタッフが手がけたものです。今後のプロジェクトにも同様の情熱とコミットメントが注がれることは間違いありません。